1月20日、バラック フセイン オバマ氏が正式に大統領に就任した。ドラマたっぷりの就任式には約180万人の老弱男女が全国から集まり(ワシントンDC市発表)、さらにテレビ中継は3800万人近くが視聴(ニールセン公表数字)。オンラインストリーミングの数字を抜いても4000万人が世界中から見守っていた。文字通り 「All eyes on Obama」、クライマックスの大統領宣誓。その歴史的瞬間に起こった二つの法的問題点があった。
その一 憲法上は1月20日の12時までに新大統領が正式に就任してることになっている。ところが、就任式次第の進行の都合上、宣誓が行われた時には12時を数分回っていた。その結果「リーダー不在の空白の数分間」が生じたのだろうか?
その二 「宣誓文」の読み上げが完璧ではなかった。
まずは冒頭部分、「私、Barack Hussein Obamaは。。。」の部分で宣誓執行役のジョン ロバーツ最高裁判事がフライイングをしたため二人の声がだぶったという「つまずき」があった。
次に、肝心の宣誓文そのもの。以前このブログ(「Where is Your Heart?」)で書いたが、宣誓の文面は憲法第2条に明確に規定されている。
"I do solemnly swear (or affirm) that I will faithfully execute the office of President of the United States, and will to the best of my ability, preserve, protect and defend the Constitution of the United States."
というもの。ロバーツ判事は始め、上記の太字部分を読み忘れたせいか、文章の最後に後で付け加えた。その間違いに気づいたオバマ大統領が一瞬ためらい、宣誓が中断。ロバーツ判事は再度同じ文章を読み上げたが、さっきと語順が違う。途中まで言いかけていた文をオバマ大統領がそのまま続けたため、結果的には大統領の口から出た「faithfully」の一語は憲法条文とは違うところに収まってしまった。
さて、この宣誓は有効だったのか?法律専門家の間で議論を呼んだ。
問題その一については、12時に前大統領の任期が終了していたため、大統領としての権威の移行は12時をもって完了された、というのが一般的見方でこの議論は終結している。確かに、修正憲法20条Section 1には以下の規定がある:
"The terms of the President and Vice President shall end at noon on the 20th day of January ... and the terms of their successors shall then begin."
つまり、正午の鐘とともにブッシュ大統領の任期は終わり、自動的に次の大統領の任期がはじまる、と。
一方、修正憲法22条の宣誓文の規定では「大統領として就任する前に」宣誓の言葉を述べることになっている。なので上記20条と合わせ読むと、12時前に宣誓を済ませるべし、といのが自然な解釈でもあるし、逆に宣誓に関わらず権威の移行は12時に自動的に行われたとの読みも成り立つ。歴史的にこの後者の解釈が採用されてきたようだ。(12時以降になったケースは以前もあったそうな。)
より難しいのは問題のその2の方。詳細に規定された宣誓文を斉唱できなかったことは残念ながら事実。12時に間に合わなかったのはともかく、内容にも問題あり、とは。。。宣誓の無効化議論により大統領の権力失意につながらないか、若干の懸念を残したスタートとなった。
そして最後は「最良の善後策はやり直すこと」とのホワイトハウス弁護士の判断に。もし私が同様の立場だったら。。。同じ結論になったと思う。この重要な場面で逆に「やり直ししなくても大丈夫」との太鼓判はどうしても押せなかったと思う。
問題となった宣誓シーンのビデオおよび「やり直し」の音声ファイルはこちらでどうぞ。
「やり直し」は執務開始初日の1月21日に行われた。判事としての正式の装いのロバーツ判事と普通のスーツ姿のオバマ大統領。ぴったりと息のあった宣誓文斉唱。ホワイトハウスの大統領執務室(oval office)での儀式はわずか25秒で終わったという。
やり直しは英語で「Do-over」という。しばらくは時代のキーワードとして活躍するかもしれない。

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